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100話 緑の迷宮

مؤلف: 白蛇
last update آخر تحديث: 2026-02-10 17:02:49

 東の空が、生肉じみたあかね色に裂けた。

 夜明けと共に、大地の悲鳴が始まった。地平の彼方から押し寄せる、数万の鉄靴の響き。朝霧を切り裂いて現れたのは、黄金に目をぎらつかせた朝廷の軍勢だった。

 先陣を切るのは、功名心に逸る地方豪族たちの騎馬隊だ。

 彼らは森の入り口で足を止めた。不気味に静まり返る原生林の闇、そこから漂う濃密な死の気配に、本能的な躊躇いを覚えたのだろう。

 その淀んだ空気を切り裂くように、一騎の影が緑陰から飛び出した。

「俺は阿弖流為の子、瑞礼だ! ――こっちだ、ヤマトの田舎侍ども!」

 涼やかな挑発と共に現れたのは、栗毛の馬を駆る瑞礼だった。

 泥塗れの戦装束。だが、朝日に照らされたその貌は、血と泥の戦場にはあまりに不釣り合いなほど白皙はくせきで、魔的な美しさを放っていた。

 風になびく黒髪、挑発的に歪められた赤い唇、そして侮蔑を含んだ流し目。それは泥沼に咲く一輪の彼岸花のように、見る者の視線を強烈に、卑猥なまでに吸い寄せた。

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